多趣味おばちゃん 小学校教員のメモ

気が合う人、教育について語り合おうぞ!学習ソングも作曲中。

道徳科を学び直す 坂本哲彦氏の著書 神本!

 

「分けて比べる」道徳科授業

「分けて比べる」道徳科授業

 

 持っています。そして、読んだはずなのに…

改めて読んでみた今、感動すら覚えます。

 

明快! 「分けて比べる」つまり比較分類することで、①深まる ②整理できる。

目標と内容、

教材、発問、学習過程、

多様な指導方法、

評価 等について、掘り下げられています。理解が深まりました!!

具体を交えながらなので理解しやすいのも特徴です。

 

おそらく、現場の教師で、私のように大学で不勉強だった人や、教師になっても不勉強だった人は、人物の気持ちを問う以外の学習課題や発問のパターン、問い返し、振り返りの仕方のパターンをあまり知らない、または整理できていないんだと思います。

この本はそのどちらもを1冊で補えるものだと思いました。

 

山口が生んだ道徳教育正統派フロンティア、坂本氏の真髄が収まった一冊。

他の著書も持っていますが、これはかなり読み応えがあります。

今の私にピッタリの 一冊でした。

早く読み直しておけばよかった。。。

 

個人的に特に参考になった部分を紹介します。

 

P31

目標・内容項目を分析すると、

①知的:分かって行動すること=行動する価値が比較的論理的、知的に導かれるもの

②情的:感じて行動すること=価値が理屈抜きに感じ取られるもの

(例えば「生命尊重」は一見理屈抜きで重要と思われそうなものも、知的な理解を踏まえることが前提ということ)

③④は本書をご覧あれ

 

 

P36 ねらいの焦点化とその具体 。 上記のことと関連して、

例えば、「親切、思いやり」で指導する「はしの上のおおかみ」は、

・温かい心という「心情」のほうに重点を置くのか、

・親切にするという「行動」のほうに重点を置くのか。

もちろん0か100かではないが。

この意識が教師に足りなかったのでは。

 

 

P43 2つの学習内容とその具体例

学習内容1:道徳諸価値の理解  ア イ ウ エ

学習内容2:自分理解、生き方  ア イ ウ

・・・分類整理するとこうなるのか。

この視点をもって授業を組み立てたり、他の方の指導案を見たりするとスッキリ。

協議の時にも役立ちそう。「今回は 1のアだけど、イだとどうなるかな」等。

 

そして1・2に対応した発問はP63~とP67~に載っています。

1に対応

①【内側発問】  P85にも利点と課題、提案の記載あり。

  ・登場人物になりきって考える

     ・その時の気持ちや考えを想像する(心情)

     ・行動の理由やその後とり得る行動を考える(行動)

  ・投影的な発問(なりきるのではなく、少し意識的に自分を関わらせて考える)

 

② 【外側発問】 人物から距離を置いて、自分ごととして判断することを中心とする。氏の主張もこれが多い。1【内側発問】から少しずつ離しながら一般化しつつ考えさせることが重要。

 ア~コ これを「はしの上のおおかみ」の発問で例示してあるのがいい!

イ(好きか嫌いか) カ(条件変更。もし~なら) ク(不足を問う) 等 幅広い。これが全部頭の中に入って自在に操れたら強い。

 

③ 人物や教材を離れて、道徳的価値について考えさせる発問

サ~セ   サ(おおかみが学んだものは何か) 

ス(本当の親切とはどんなことか、親切に必要なことは何か、等)

 ←これは「哲学対話」「本質看取」と重なるなあ!!!!!

 

2に対応  ソ~ツ

例えば タ 自分のよいところ、伸びようとしているところを問う 等

 

※基本的には【内側】から【外側】へ。いきなり【外側】だと人物批判になりがち。

・・・確かにそうです。以前した授業で、後半の時間を確保したいがためにいきなり【外側】をし、もろに人物批判的になりました。

 

※ ↓↓そしてここが最近の私の関心事!!

P69  問い返しで再度判断を迫る。

上記の発問で意見をいくつかに分けてまとめた後、

「どれが一番よいか」「どれが一番好きか」「どれなら実現できそうか」などと問い返す。

極論すれば、最初の発問で子どもから出された内容は、授業前から既に子どもの中にあった考えにしか過ぎず、それらを出し合った後、「分けて比べる」ことから、本当(本時)の学習が進む、とさえ言うことができます。

万能、切り札は下の2つ。なるほどです!

テ 納得度を問う発問(あなたはどの考えに最も納得できますか)

ト 共通点を問う発問(どの考えにも共通している考えは何でしょうか)

 そうです、この辺りの記述に以前納得して赤線もたくさん引いている。その断片が頭の中に残っていて、これこそ私が実現したいことだと思い、思いながらもいつも時間不足でできていない。

また、しようと思っていてもうまく問い返せず、吟味させられず、、、

今後はまずこの2つの、特に(テ)からいってみよう!しかもこれは道徳科に限ったものではないですね。(割とよくやっているような・・・) 再度意識です!

まさに「学びて時に之を習う。亦説ばしからずや」です。

 

 

P90にも、自我関与の話題の中で、

「どれが一番自分に近いか」「どれが一番よくわかるか」

という問いも載っていました。自分と比べる。自分の納得度を問う。

これもいつでも出てくるように、頭の引き出しに入れておきたいです。

 

 

P77  終末  思考の「見える化」 も大いに参考にしたいです。

 

 

そして

P92~ 「問題解決的な学習」 こちらも私の関心事!!!

道徳的問題、「価値課題」「教材課題」・・・

私は「価値課題」(主題的、価値的な問い)で問題解決的な学習をもっと取り入れたいと考えていたのだな・・・

そして、「哲学対話」ともつながる部分です!

さらに、

P96

「学習課題を達成した後に、新たな道徳的な問題、学習課題が現れることがあるかもしれないのが、問題解決的な学習の特徴と言えるかもしれません。」

これも私の理想です。以前私が書いたこと、言いたかったこと(↓)は、氏の言葉で整理できるんだなあ。「はみ出す追求」です。

こんな提案したかった。6年「節度・節制」授業を終えて - 多趣味おばちゃん 小学校教員のメモ

 

 

 最後に。

P200。

「銀の燭台」の授業例が載っています。

それが、以前氏のHPで見た指導計画と、かなり違うのです。

sakamoto.cside.com

 展開後半、ラベリングした後、「どの考えにも共通していることは何か」と問う。

さらに許す場面の動作化。感想交流。

終末で、「これまでの自分を振り返って実現度」「これからの自分に生かせそうな感覚の度合い」をそれぞれ5段階の数字で表す。

 

・・・なるほど。「分けて比べる」、問い返しの切り札で再考し深める。

動作化はP101の「体験的な学習」 6年生でも役割演技!

 

チャレンジですね。けれど、

改訂を踏まえて、質的な転換、質の高い多様な指導方法を検証する必要もあります。

私の今後の課題とします。

 

 

 有意義な秋の3連休の夜長でした。真面目やな~~