多趣味おばちゃん 小学校教員のメモ

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運動会の意義と目的 学習指導要領解説より

この度、改めて「学習指導要領解説 特別活動編」を読みました。

下線、赤字は私によるものです。

 

(特別活動の目標(全体目標))
 集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ,様々な集団活動に自主的,実践的に取り組み,互いのよさや可能性を発揮しながら集団や自己の生活上の課題を解決することを通して,次のとおり資質・能力を育成することを目指す。
(1) 多様な他者と協働する様々な集団活動の意義や活動を行う上で必要となることについて理解し,行動の仕方を身に付けるようにする。
(2) 集団や自己の生活,人間関係の課題を見いだし,解決するために話し合い,合意形成を図ったり,意思決定したりすることができるようにする。
(3) 自主的,実践的な集団活動を通して身に付けたことを生かして,集団や社会における生活及び人間関係をよりよく形成するとともに,自己の生き方についての考えを深め,自己実現を図ろうとする態度を養う。

 

(学級活動の目標)
 学級や学校での生活をよりよくするための課題を見いだし,解決する
ために話し合い,合意形成し,役割を分担して協力して実践したり,学
級での話合いを生かして自己の課題の解決及び将来の生き方を描くため
に意思決定して実践したりすることに , 自主的 , 実践的に取り組むこと
を通して,第1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。

(児童会活動の目標)
 異年齢の児童同士で協力し,学校生活の充実と向上を図るための諸問
題の解決に向けて,計画を立て役割を分担し,協力して運営することに
自主的,実践的に取り組むことを通して,第1の目標に掲げる資質・能
力を育成することを目指す。

(クラブ活動の目標)
 異年齢の児童同士で協力し,共通の興味・関心を追求する集団活動の
計画を立てて運営することに自主的,実践的に取り組むことを通して,
個性の伸長を図りながら,第1の目標に掲げる資質・能力を育成するこ
とを目指す。
(学校行事の目標)
 全校又は学年の児童で協力し,よりよい学校生活を築くための体験的
な活動を通して,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養いな
がら,第1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。

 

1 学校行事の目標
 全校又は学年の児童で協力し,よりよい学校生活を築くための体験的
な活動を通して,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養いな
がら,第1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。

2 学校行事の内容
 1の資質・能力を育成するため,全ての学年において,全校又は学年
を単位として,次の各行事において,学校生活に秩序と変化を与え,学
校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うことを通して,それぞ
れの学校行事の意義及び活動を行う上で必要となることについて理解し,主体的に考えて実践できるよう指導する。
(1) 儀式的行事
 学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるようにすること。
(2) 文化的行事
 平素の学習活動の成果を発表し,自己の向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするようにすること。
(3) 健康安全・体育的行事
 心身の健全な発達や健康の保持増進,事件や事故,災害等から身を守る安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵養,体力の向上などに資するようにすること。
(4) 遠足・集団宿泊的行事
 自然の中での集団宿泊活動などの平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,よりよい人間関係を築くなどの集団生活の在り方や公衆道徳などについての体験を積むことができるようにすること。
(5) 勤労生産・奉仕的行事
 勤労の尊さや生産の喜びを体得するとともに,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるようにすること。

 

 この「学校生活に秩序と変化を与え」,あるいは「体験的な活動」とは,他の教育活動では容易に得られない教育的価値を実現する内容としての学校行事の特質を述べたものである。特に,学校行事における様々な感動体験の場は,児童の心を育て,自己の生き方についての考えを深め,自己実現を図ろうとする態度を育む機会になるとともに,学級集団はもとより学年や全校の集団を育成し,よりよい人間関係を形成する上でも効果的な場となる
 また,この体験的な活動は,ともすると単調になりがちな学校生活に非日常的な秩序と変化を与えることから,年間を通して計画的に実施することによって,児童の学校生活にリズムを与え,節目を付け,より生き生きとした生活を実現することになる。
 「学校生活の充実と発展に資する」とは,児童が,他者と力を合わせて学校行事に取り組むことを通して,学校生活に満足感や充実感を味わえるようにすることである。また,そのような児童の積極的な参加によって,結果として学校生活がより豊かになるなどの充実と発展も期待される。
児童にとって魅力があり,楽しく充実した学校生活にするためには,学校行事の果たす役割が大きい。また,学校行事は,特色ある学校づくりを進め,よりよい校風をつくっていく上でも中心的な役割を果たしている。さらには,学校行事に参加したことや学級又は学校の一員としての役割を果たしたことなどが,自分への自信を高め,自己実現を図ることにつながったり,学校生活の楽しさや満足度に大きく貢献したりすることが多い。
 このようなことを踏まえ,児童一人一人にとって魅力があり,やりがいのある学校行事を展開するためには,児童が学校生活の充実と発展に資する体験的な活動に積極的に取り組むことができるようにすることが大切である。ここで示した「学校生活の充実と発展」は,学校行事だけで達成できるものではない。学校行事も他の教育活動と相まって小学校教育の目標の達成を目指すものである。したがって,学校行事に他の教育活動における学習や経験などを総合的に取り入れ,その発展を図り,効果的に展開されるようにする必要がある。また,各教科,道徳科,外国語活動,総合的な学習の時間及び学校行事以外の特別活動などの学習を充実したものにすることによって学校行事は成果を上げ,学校教育全体の調和を図り,真に学校生活を豊かな実りあるものにするのである。
 これらのことを踏まえ,学習指導要領には,全ての学年で取り組むべき次の五つの種類の内容を示している。

 

(3) 健康安全・体育的行事
① 健康安全・体育的行事のねらいと内容
 心身の健全な発達や健康の保持増進,事件や事故,災害等から身を守
る安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責
任感や連帯感の涵養,体力の向上などに資するようにすること。


 健康安全・体育的行事のねらいは,次のとおり考えられる。
 児童自らが自己の発育や健康状態について関心をもち,心身の健康の保持増進に努めるとともに,身の回りの危険を予測・回避し,安全な生活に対する理解を深める。また,体育的な集団活動を通して,心身ともに健全な生活の実践に必要な習慣や態度を育成する。さらに,児童が運動に親しみ,楽しさを味わえるようにするとともに体力の向上を図る。
 健康安全・体育的行事においては,例えば次のとおり資質・能力を育成することが考えられる。
○ 心身の健全な発達や健康の保持増進,事件や事故,災害等の非常時から身を守ることなどについてその意義を理解し,必要な行動の仕方などを身に付ける。また,体育的な集団活動の意義を理解し,規律ある集団行動の仕方などを身に付けるようにする。
○ 自己の健康や安全についての課題や解決策について考え,他者と協力して,適切に判断し行動することができるようにする。また,運動することのよさについて考え,集団で協力して取り組むことができるようにする。
○ 心身の健全な発達や健康の保持増進に努め,安全に関心をもち,積極的に取り組もうとする態度を養う。また,運動に親しみ,体力の向上に積極的に取り組もうとする態度を養う。
 健康安全・体育的行事には,健康診断や給食に関する意識を高めるなどの健康に関する行事,避難訓練や交通安全,防犯等の安全に関する行事,運動会や球技大会等の体育的な行事などが考えられる。

② 実施上の留意点

ウ 運動会などについては,実施に至るまでの指導の過程を大切にするとともに,体育科の学習内容と関連を図るなど時間の配当にも留意することが大切である。また,活発な身体活動を伴う行事の実施に当たっては,児童の健康や安全には特に留意し,日常の学校や家庭における健康管理,教師間の協力体制を万全にし,事故防止に努める必要がある。
エ 運動会においては,学校の特色や伝統を生かすことも大切である。ただし,児童以外の参加種目を設ける場合は,運動会の教育的意義を損なわない範囲にとどめるよう配慮する。また,児童会活動やクラブ活動などの組織を生かした運営を考慮し,児童自身のものとして実施することが大切である。その場合,児童に過度の負担を与えたり,過大な責任を負わせたりすることのないように配慮する。 

オ 各種の競技会などの実施に当たっては,いたずらに勝負にこだわることなく,また,一部の児童の活動にならないように配慮することが必要である。

 

(1) 学校の創意工夫を生かし,学級や学校,地域の実態,児童の発達の
段階などを考慮する
 学校行事は,各学校の創意工夫を生かしやすく,特色ある学校づくりを進める上でも有効な教育活動であるので,全校の教職員が共通理解を深め,協力してよりよい計画を生み出すようにする。具体的には,学校の教育目標や指導の重点,地域の特色や学校の伝統などから,行事の重点化を図るなど自校の実態に即した特色ある学校行事の指導計画を作成することである。
 例えば,学校の教育目標やその年度の指導の重点が「思いやりのある子供の育成」であれば,その具現化を図るために,各教科や道徳科等における授業の改善や学校生活全体での心の教育の充実とともに,道徳教育の充実を図る観点から勤労生産・奉仕的行事の充実を図ることも考えられる。このことによって,「思いやりのある子供の育成」に向けて児童の平素の生活態度の向上の契機とすることが期待できる。このように,学校行事の年間指導計画作成に当たっては,学校の教育目標の実現を図る教育活動の一つとして十分に検討することが大切である。

 

(2) 児童による自主的,実践的な活動が助長されるようにする
 学校行事の指導においても,児童が積極的に活動できるようにするため,事前・事後の指導について十分に留意し,指導の効果を高めるように配慮する。その際,学校行事の種類によって,児童の意見や希望も指導計画に反映させるとともに,児童の自主的な活動も可能な限り行えるよう配慮し,児童が楽しく参加できるようにする。
 具体的には,発達の段階や学校行事の内容によっても異なるが,できるだけ児童が活動意欲をもつことができるように,特に,児童会活動との関連を密にして,学校行事の一部を児童が分担し,自主的,実践的にその運営に参画できるようにすることが望ましい。しかし,例えば,児童の創造性や自主性などを考慮するあまりに,学校行事と児童会集会活動とを混同しないように十分配慮する必要がある。
 また,学級活動「(1) 学級や学校における生活づくりへの参画」の「ウ 学校における多様な集団の生活の向上」において,例えば運動会や学芸会などの内容の一部について,学級として取り組むことを話し合い,児童の創意工夫を生かすということも考えられる。その場合,行事に向けた単なる準備や片付けなどの時間にならないように十分留意する必要がある。

(3) 内容相互及び各教科,道徳科,外国語活動,総合的な学習の時間な
どの指導との関連を図る
 学校行事においては,第2に示す内容相互及び各教科,道徳科,外国語活動,総合的な学習の時間などの指導との関連を図ることが大切である。具体的には,特別活動の他の内容や各教科等で身に付けた資質・能力などを,学校行事においてよりよく活用できるようにすることである。また,学校行事で身に付けた資質・能力を各教科等の学習に生かすことである。
 特に学校行事は,平素の教育活動の総合的な発展の場であるため,日常の教育活動の成果が生かされるようにすることが大切である。したがって,学校行事の年間指導計画も,特別活動における学級活動や児童会活動及びクラブ活動,各教科,道徳科,外国語活動及び総合的な学習の時間などの年間指導計画と関連し合うように作成することが大切である。このような配慮によって,全体としての調和のとれた教育活動が展開されることになる。
 例えば,運動会や学芸会のテーマを道徳科の内容の「B 主として人との関わりに関すること」の感謝と関連付けて掲げて開催し,家族や地域の方々に対する感謝の気持ちを伝える工夫を取り入れた表現運動等を披露したり,感謝を題材とする劇や歌等を発表したりすることなどが考えられる。

 

個人的には、赤字にした部分「感動体験の場」という文言に惹かれました。

学習指導要領に「感動」という言葉がある。道徳科以外で。

 

コロナ禍で失われているものは、早く言えば「感動」なのかもしれない。

 

感動しよう、させようとして何かをするものではないとは思うけれど、

結果的に感動が生まれるような、児童の自主的・実践的な活動の場を、作りたい。

これまでどおりの運動会ができなくても。

 

しかし、そもそも、これまでの運動会やそれに向けた活動が、児童の自主的・実践的な活動の場だったのか。そうとは言い難いものが多く含まれていたと思う。それはこの機会に見直したい。